お知らせ
音のふしぎ!パンフルートをつくろう
3月22日(日)に、「音のふしぎ!パンフルートをつくろう」を開催しました。
講師は、NPO法人 テクノプロスの川村さん、藤本さんです。
※テクノプロス・・・トヨタグループの研究者集団である(株)豊田中央研究所のOBを中核とする技術指導チーム
今回は、実験を通じて音の秘密を解き明かし、パンフルート作りに挑戦します。
パンフルートとは、1本のパイプで1つの音の高さが出せるようにして、それを音階状に束ねた管楽器のことです。
ワークショップ前半は、「音の正体」について様々な角度から勉強しました。
最初に、のどに指を当てながら「あーーーー」と声を出してみます。指先の感覚を意識しながら行うと、大きな声を出すほど、のどが震えているのを感じることができました。音とは、「モノの振動(しんどう)が空気の振動となって伝わること」であり、まずはこれが基本的な考え方となります。
講師が用意した大きなスピーカーの前に皆が集まります。スピーカーから音楽を鳴らし、その上に発泡スチロールのビーズをひとにぎり乗せます。ビーズはポコポコと振動し、さらに音を大きくするとスピーカーからはみ出てしまうほど激しく飛び跳ねました。
![0322パン①](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/bd14c671b3e33c2e5c03ded1e6716ca8.jpg)
![0322パン②](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/92a683fddc2482f96648e1aba6edf540.jpg)
![0322パン③](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/f6df15dbb283992bb48f7a4e8d78e74d.jpg)
![0322パン④](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/d0894e0fcceb2e59b011340ac17399c2.jpg)
モノが震え、その近くの空気が押されたり引っぱられたりして「波」ができることで、音として伝っていきます。水の波は水面が上下にゆらゆら揺れて広がっていく「横波」ですが、音の波は空気の濃いところと薄いところが発生して広がっていく「縦波」です。縦波をそのまま観察することは難しいのですが、オシロスコープを使用すれば、「音の波」を「電気の波」に変えて横波として観察することが可能です。
※オシロスコープ・・・電気信号の波形を表示する計測器
オシロスコープを見ると、音の大小や高低が一目で分かります。また、同じ大きさ、同じ高さの音でも、音色が違えば波の形も変わります。私たちは口の形を変えることで、のどから出た声の音色を変え、様々な言葉にすることができます。プラカップで「あ、い、う、え、お」に近い音を出せる講師手作りの道具も紹介してもらい、音の出口が確かにそれぞれ「あ、い、う、え、お」の口の形になっていて、思わず納得です。
![0322パン⑤](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/1b85c806ac560fba80dde5830aeedd31.jpg)
![0322パン⑥](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/059f6c0f5333341ad672a86e1d328f12.jpg)
波の性質の1つに、「共鳴」があります。サランラップの芯(筒)を耳に当ててみると「コォーーー」という不思議な音がしますが、これは筒の長さに応じて特定の音の波が重なり合うことで、その音だけを強めるためです。この「音の共鳴」によって、短い筒だと高い音が、長い筒だと低い音が確かに聞こえます。
共鳴の様子を目で見て理解するため、「クントの実験」も行いました。アクリルの円筒の中に発泡スチロールのビーズを入れ、片側にスピーカーを接続して、反対側をふさぎます。スピーカーから管の長さに合った波長の音を出すと、中で共鳴が起こり、ビーズが動きながら波の節の部分にキレイに集まります。
![0322パン⑦](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/f77f3e995b2911a59acf7863eda159ba.jpg)
![0322パン⑧](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/1dba0797bb9b92d3907f12b6303acae7.jpg)
勉強の後は、音の共鳴を利用したパンフルート作りに入ります。必要な材料を全てトレイに集め、いよいよ製作開始です。
まずは、塩ビパイプ(長1本、中4本、短3本)を、組み立てジグに合わせて横1列に並べます。パイプの列がズレないようにセロテープを貼り、裏側にもセロテープを巻いて、とめておきます。
![0322パン⑨](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/8426f112eb61afcb2ed75b462792f554.jpg)
![0322パン⑩](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/9a97acb9182209d54bbb9ab1830a0a48.jpg)
![0322パン⑪](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/0bf1ca71486e4614d735720134d724b1.jpg)
![0322パン⑫](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/2e2ee5a4429217b5c75b8903eb55b8fd.jpg)
さらに、その上から好きな色の布テープを巻き、しっかりと固定します。布テープの上には側板(がわいた)を貼りつけ、そこにサインペンで名前を書きます。
そして、くちびるを傷つけたりしないために、講師に吹き口の仕上げをお願いします。電動のヤスリで、パイプの端を滑らかにしていきます。
![0322パン⑬](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/09dd1de3b3c8d1034019ab794c8d4183.jpg)
![0322パン⑭](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/172ba0602a07c5aba8878dc8d0b54d6d.jpg)
![0322パン⑮](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/261cca27082dcb7732b5a06a4c19e7ce.jpg)
![0322パン⑯](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/fecd860ff16ca23afb5c6c0f4a5308bc.jpg)
ストローの端に合わせて、スペーサーを貼りつけます。塩ビパイプ(長1本以外)に上からストローを差しこみ、スペーサーがちょうどパイプに隠れるところまで入ったら、今度はストローの下からプラグを押し入れて、下の穴を全てふさぎます。長い塩ビパイプにも、下から太いプラグを入れます。
続いて、見本にそって竹の棒に目盛りを書きこんだ音階ゲージを使い、各ストローの中のプラグの位置を調節します。端から順番に「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」の目盛りに合わせていくと、プラグの位置は階段のように少しずつ上がっていきます。
![0322パン⑰](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/05fb13dda1858f63517bf1decce83809.jpg)
![0322パン⑱](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/dff97fefc79243f27cb8512ec5651374.jpg)
![0322パン⑲](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/4f5f8dd39d300770380bd211dcd9ce42.jpg)
![0322パン⑳](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/e310ca31b02cd4ac871a6c24cf27529b.jpg)
プラグの下に少し余裕を持たせながら、余った部分のストローをはさみで切れば、見た目にも美しいパンフルートの完成です。
講師に吹き方を教わりながら、早速、自分で吹いてみます。パイプの端にくちびるを当て、パイプの向こうを目がけて、口をすぼめながら「フゥー」と息を吹きこみます。ストローの中に上手に空気が入りこめば、フルートの音はキレイに鳴り響きます。最初は「プスー」としか音が出なかった子も、何度か試しているうちにコツをつかむことができました。目盛りで調節した音階はあくまで目安なので、実際に耳で聞いてズレていると感じた場合は、竹の棒で微調整します。
![0322パン⑳’](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/03af2b4f73e0b415efb3015db726624f.jpg)
![0322パン⑳’’](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/afea26b60006cb1ee962be1277845f96.jpg)
![0322パン⑳’’’](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/3613a78104d146241dc942cbf9c8dd67.jpg)
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最後に、講師の合図に合わせて「かえるの合唱」の合奏を行いました。みんなで一斉にを吹くと、その音色は会場中に響き渡り、すごい迫力です。音階もしっかり調整されていて、息もピッタリ♪ 演奏だけ聞くと、塩ビパイプやストローで作った楽器とは、とても思えないですね。
「音」の奥深さを学び、 手作りパンフルートの音色を存分に楽しめた充実の2時間でした。
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![0322パン⑳''''''](https://www.tcmit.org/wp-content/uploads/e310ca31b02cd4ac871a6c24cf27529b3.jpg)