街を彩るイルミネーション

 

トヨタ産業技術記念館 館長の大洞和彦です。

12月になると、街はクリスマスのイルミネーションに彩られます。東京・表参道が有名ですが、今年で42回目を迎えた「さっぽろホワイトイルミネーション」が、国内の先駆けだそうです(諸説あります)。

街のライトアップは、主に光源自体を見せる「イルミネーション」と、照射対象を見せる「投光照明」に大別できます。小さな光源を樹木の幹や枝に連続的に配置し、ワイヤーで動植物や幾何学模様を形作るイルミネーションは、色の組み合わせによってその特徴が際立ちます。白熱電球が中心だった光源も技術開発が進み、現在は省電力、長寿命、高輝度、低発熱で多色発光や配光可変が可能なLEDが主流となりました。投光照明は、建物などの対象物あるいは背景の反射光を見せる手法であり、近年はイルミネーションと組み合わせた照明演出が一般的になっているようです。

街なかでは、深夜でも肉眼で見える星の数は僅かです。冬のイルミネーションに惹かれるのは、かつて満天に見えていた星たちの瞬きを、冷涼な空気の中で無意識に求めているからでしょうか。弛まぬ技術開発による「地上の星たち」の輝きが、どうか人々の心を癒し続けますように。

【参考資料】
時枝直満「イルミネーションの変遷と技術」(2002年)照明学会誌第86巻4号
小田正志「ライトアップ手法の科学」(2011年)照明学会誌第95巻7号

イルミネーションと投光照明を組み合わせた
さっぽろホワイトイルミネーション(2017年、実行委員会提供)